Sixth Floor Seduction

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Published 8/24/2026
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# SIX HEARTS ―僕を惑わす6人の女たち―

## 第1話「残業で、美人上司と二人きり。」

時計は午後10時を回っていた。

オフィスの照明は半分消えていて、僕のデスクの上のライトだけが白く浮かんでいる。コピー機のスタンバイ音がやけに響くフロアに、もう誰もいない。

「……あと少し」

明日のプレゼン資料。クライアントからの修正指示が夕方に入ってきて、他のメンバーは先に帰した。新人に無理させるわけにもいかないし、自分でやったほうが早い。

画面に向かって数字を微調整していると、エレベーターホールの方から足音が聞こえた。

ヒールの音だ。

高級感のある、規則正しいリズム。この時間にオフィスに戻ってくる人間は限られている。

「まだやってたの?」

声の主は予想通りだった。

黒沢麗華。営業部主任。29歳。このフロアで一番の美人で、一番厳しい上司。

「明日の資料、もう少しだけ直しておきたくて」

振り返ると、彼女はコートを腕にかけて立っていた。仕事終わりの格好のはずなのに、髪の毛一本乱れていない。紺色のタイトスカートが、オフィスの薄明かりに映える。

「真面目ね、高瀬君」

彼女が歩いてくる。ヒールの音が近づくたびに、なぜか心臓が締め付けられるような気がした。

「見せて」

麗華が僕の隣に立つ。彼女の香水の匂いが、ほのかに漂ってくる。フローラルだけど甘すぎない、大人の女の香りだ。

画面を指さしながら、僕は説明を始めた。

「こちらが修正後の収益予測です。クライアントが気にしていたリスク指標も、別シートで補足しています」

「……ここ、単位が合ってないわよ」

彼女が身を乗り出して、画面を指さす。

その瞬間、肩と肩が触れた。

彼女の髪が、僕の腕にかすめる。黒くて、細くて、滑らかな手触りが一瞬だけ伝わってきた。

「あ、すみません」

慌てて直そうとしたら、麗華が小さく笑った。

「……どうしたの?」

「え?」

「さっきから、ちょっと緊張してない?」

図星だった。

「いや……そんなことないです」

僕は画面に目を戻した。でも、画面の数字が頭に入ってこない。彼女がまだすぐ隣に立っているからだ。

「本当に?」

麗華が顔を近づける。

距離は、あと20センチもない。

彼女の瞳が、まっすぐに僕を捉えている。睫毛が長い。唇が、ほんの少しだけ開いている。

「……高瀬君って、意外と分かりやすいのね」

彼女の口元がわずかに緩む。からかうような、でもどこか優しい笑顔だった。

僕は思わず目をそらした。

「すみません。もう少しで終わります」

「急がなくていいわよ」

そう言って、彼女は一歩引いた。

距離が戻ると、ほっとしたような、少し寂しいような、不思議な気持ちになった。

「……その資料、明日の何時から?」

「午前10時です」

「じゃあ、あと20分くらいで終わる?」

「そうですね。あと少しで……」

「わかった」

彼女は近くのデスクにコートを置いた。そして、そのままその椅子に座る。

「終わったら、一緒に帰る?」

「え?」

「こんな時間に部下を一人で帰らせたら、上司として問題でしょう?」

論理的だけど、なんだか違う理由のような気がした。

「いや、大丈夫です。電車、まだありますし」

「私もまだ終電までには余裕があるわ」

彼女はスマートフォンをいじりながら、さりげなく言った。

「それとも……私と帰るの、嫌?」

その言葉に、一瞬心臓が跳ねた。

「そんなことは……ないです」

「じゃあ決まりね」

彼女は微笑んだ。でもその笑顔には、仕事の時のような余裕だけじゃない、何か別のニュアンスが混ざっている気がした。

僕は必死に画面に集中した。数字を打ち込みながら、頭の片隅で彼女の存在を感じている。香水の残り香。スカートの裾から伸びる脚。黒いストッキングに包まれた、きれいなライン。

ダメだ。集中しろ。

「……高瀬君」

「はい」

「さっきの資料、よくできてると思うわ」

彼女の口調が、少し柔らかくなった。

「あのクライアント、結構細かいのに、ちゃんと要件を押さえてある。君の仕事は、いつも丁寧ね」

「ありがとうございます」

「本当よ」

彼女が立ち上がって、また僕の隣に来る。

「私、褒める相手は褒めるタイプだから」

その距離が、また縮まる。

彼女の手が、僕のデスクに置かれる。細くて白い指。ネイルは控えめなベージュ。でも、それが逆に大人の女の余裕を感じさせた。

「……終わった?」

「あ、はい。今、保存しました」

「じゃあ、行きましょう」

彼女がコートを手に取り、エレベーターの方へ歩き出す。

僕も急いでPCをシャットダウンし、書類をカバンに詰めた。

エレベーターの中で、二人だけの空間になる。

無機質な金属の壁。降りる階を示す数字が、ゆっくりと減っていく。

彼女は何も言わない。

僕も何も言えない。

沈黙が、逆に親密さを強調しているみたいだった。

1階に着く。エレベーターのドアが開く。

「お疲れ様、高瀬君」

「お疲れ様です」

ロビーに出ると、冷たい夜風が頬を撫でた。11月の空気は、昼間の暖かさを忘れさせてくれる。

「寒いわね」

彼女がコートの襟を直す。その仕草が、妙に大人っぽくて、僕は目をそらした。

「駅、同じ方向ですよね?」

「ええ。一緒に行きましょう」

歩き出そうとしたその時。

スマートフォンが震えた。

ポケットから取り出すと、画面にメッセージが表示されている。

**『今、会社?』**

送り主は――

**美咲はるか。**

幼なじみ。今は別の会社で働いている。たまに連絡が来るけど、こんな時間は珍しい。

「……どうしたの?」

麗華が、画面を覗き込む。

一瞬だけ、彼女の表情が変わった。

「……彼女?」

「違います。幼なじみです」

「そう」

彼女は微笑んだ。

でも、その笑顔は先ほどまでとは少し違う。目が笑っていない。プロの営業スマイルに、ほんの少しだけヒビが入ったような。

「……帰りましょ」

彼女が先に歩き出す。

その後ろ姿を見ながら、僕はスマートフォンをもう一度見た。

はるかからのメッセージ。既読はつけたけど、返事はまだだ。

何の用だろう。

なぜ今、このタイミングで。

――この時の僕はまだ知らなかった。

たった一通のメッセージが、6人の女性との恋を動かし始めることを。

**SIX HEARTS**

**つづく**



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This is a work of fiction, assisted by artificial intelligence. Any names or characters, businesses or places, events or incidents, are fictitious. Any resemblance to actual persons, living or dead, or actual events is purely coincidental.

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